バタフライのドリル練習~子供や初心者への教え方のコツは
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漢字ドリルや計算ドリルのように、ドリルとは同じような訓練を繰り返し行うことにより、知識や技術を身につける練習方法のことですが、バタフライにも同様に泳ぎ方を身につけるためのドリルがあります。
1ストローク2キックが基本のバタフライでは、ストロークやキック、息継ぎのそれぞれに対して苦手意識を持つ人は多いことでしょう。それら克服するためにも、ここで紹介するドリルを参考にして、美しいバタフライの泳ぎ方を身につけましょう。
バタフライのドリル練習~ストローク編
まずは、バタフライのストロークのドリル練習です。ここでは、バタフライで泳ぐ際に必要な手の動きや水のかき方に重点をおいた練習方法を紹介します。
1.スカーリング
まずは、バタフライの基本ともいえるスカーリング(sculling)という水をかくための手の動きです。
基本としては、左右の手のひらの角度が45度になるように外に向かって水をかき、外側まできたら、次に手のひらを内側に返して、再び45度のまま内側に向かって水をかきます。手の軌道が∞を描くように水中で動かします。
最初はプールの中に立ったままで構いませんので、何度も繰り返し行い、ある程度の水の中での手の動きのイメージを掴めたら、次の動画のように、足を使わずにスカーリングだけで前に進む練習をしてみましょう。
2.片手バタフライ
いきなり両手のストロークは難しいという方は、片手だけでストロークの練習を行ってみましょう。
片手バタフライは、手と足が動くタイミングを身につけるために行うドリル練習で、第一キックと第二キックのタイミングを中心に、体がうねる際のストリームラインなどを確認します。その際、動かさない反対側の腕は前に伸ばした状態で泳ぎます。
また、息継ぎは、動かしている腕側でクロールのように、横向きに呼吸をしてタイミングを掴みます。ただし、リカバリーの際はクロールの手の動きにならないよう、バタフライのストロークを意識しましょう。
3.片手→両手バタフライ
左手→右手→両手の順に、ストロークごとに水をかく腕を変えながら泳ぐドリル練習です。
このドリルでは、首を上げて息継ぎをする際、肩を低い位置で水平に保つことによって、抵抗の少ない泳ぎを身につけることができます。バタフライの呼吸の際に体が沈む、息継ぎがうまくできないという人には、特におすすめのドリルです。
ストロークを変えるごとに、左手の時は左向き、右手の時は右向き、両手のストロークで正面を向いて息継ぎをします。横向きで呼吸する際は、水を飲み込まないよう顔をやや後ろに向けて行うといいでしょう。
4.バタ足バタフライ
バタ足バタフライとは、バタフライのストロークとクロールのキックを組み合わせて泳ぐ練習法です。
バタ足に変えることによって、通常のキックで泳ぐバタフライに比べて、入水の際に潜りにくくなるため、体重の上下移動を少なくなることでうねりが抑えられて、抵抗が少ないフラットな泳ぎを身につけることができます。
うねりが少ない分、スムーズに泳ぐために、通常よりも速く腕を動かす必要があります。また、息継ぎの際は、顎を上げすぎずに、できるだけ低い位置で呼吸をすることが大切です。
5.プルブイ
プルブイを脚に挟んだ状態で、通常のバタフライのストロークを行うドリル練習です。
プルブイ(Pull Buoy)とは、下半身を浮かせることによって、手のかきを練習するための補助具です。フルブイを使って泳ぐことで、体幹が鍛えられて、バランス感覚が身につきます。
一般的に、太腿や膝に挟んで泳ぎます。プルブイは専用の商品のほか、ビート板と兼用可能の商品が2~3千円で購入できます。
バタフライのドリル練習~キック編
続いては、バタフライキックのドリル練習です。次のようなさまざまな足を動かす練習方法によって、バタフライのキックの基礎を身に付けましょう。
6.壁キック
壁キックとは、プールの壁につかまった状態でキックの練習を行うドリルです。
まずは、両手でプールの縁につかまりながら顔を水につけ、上体を真っ直ぐ伸ばします。そして、左右の膝を付けた状態で、足の甲で上から水を押えつけるようなイメージで水を蹴ります。蹴った後、膝が真っ直ぐ伸びることを意識して、両足の上下運動を繰り返します。
この時、腰が浮きすぎてしまわないよう注意します。体が浮いてうまくキックが続かない場合は、横でサポートしてもらいながら、徐々に体を慣らしていきましょう。
7.ビート板キック
ビート板キックとは、ビート板を使って行うバタフライキックを行うドリルです。
はじめは壁キックの時のように顔を水につけた状態で練習を始め、慣れてきたら顔を水面から上げてキックしてみます。ビート板をつかんだら、上半身を伸ばし極力動かないように意識しながら、腰から下の部分の体重移動を行います。
その際、ビート板が上下に激しく動かないよう注意が必要です。キックする足を蹴り下ろした時に、下ではなく前方への体重移動を心がけましょう。
8.グライドキック
グライドキックとは、ビート板を使わずにバタフライキックの練習を行うドリルです。
やり方には、気をつけの姿勢のように、手のひらを太腿の外側に付けて行う方法と、蹴伸びの状態から行う方法の2つがあります。まずは、気をつけのキックからはじめて、上手にできるようになったら、蹴伸びのキックをはじめてみましょう。
さらに、慣れてきたら息継ぎを行います。水を蹴り上げたことによって上体が起き上がった際、顔を上げて素早く息を吸い込みます。
9.サイドキック
サイドキックとは、体を横に向けた状態でバタフライキックを行う練習方法です。
通常のバタフライキックは足を上下に動かすのに対し、サイドキックでは進む方向に対して左右に動くことから、アップビートとダウンビートのリズムが同じでなければ真っ直ぐ進むことができません。そのため、サイドキックを行うことで、キックのバランス感覚が身につくのです。
泳ぐ際は、水面側の腕を前方に真っ直ぐ伸ばし、反対側の手は太腿に添えます。サイドキックに慣れてきたら、息継ぎをしながら泳いでみましょう。
10.3K1P(3キック1プル)
3K1Pとは、3回キック→プル1回を繰り返し行うドリル練習です。
まずは、腕を伸ばした状態でキックを3回した後、4回目のキックの時にプルを1回行うという泳ぎ方を繰り返します。プルの際に、上体が浮上したタイミングで息継ぎを行います。
このドリルは、通常の泳ぎ方に比べて手のかきが少ないので、キックに集中することができるのが特徴です。3K1Pのほかに、2K1Pや4K1Pなどがあります。
詳しいやり方は、次の動画を参考にしてください。
バタフライの教え方の3つのポイント
バタフライは、クロールや背泳ぎのように見様見真似で泳げるようになるものではありません。水泳の初心者や子供に教える場合、何に気をつけたらいいのか分からないという人もいるはずです。
そこで、ここからはバタフライの教え方のコツをご紹介。次の3つのポイントを参考にして、バタフライの泳ぎ方の基礎を身につけましょう。
1.けのびでバランスを身につける
細かなバタフライの動きを学ぶ前に、まずは、バタフライのストリームラインの基本姿勢とも言える蹴伸び(けのび)をしっかり身につけることが大切です。
上腕の内側を耳に付けるようなイメージで肘を伸ばし、左右の手を組みます。そして、膝を曲げずに、体が一直線を描くように体を水平に保ちます。この時、体に力が入りすぎていないかチェックしてください。
はじめのうちは、横に立ってお腹のあたりを支えてあげると、恐怖心がなくなって、リラックスした状態で水に浮かぶことができます。また、慣れてきたら、壁を蹴ってから蹴伸びの姿勢で前に進む練習を行います。
2.イルカ飛びでうねりを身につける
イルカ飛びによって、入水してから浮上するまでの動きを体験することで、バタフライ特有のうねりを身につけることにつながります。
はじめに、両手を上げて頭上で手を組みます。次に、軽くジャンプして、放物線を描くように指先から腕、頭、肩の順に入水し、一旦潜ってから背中を反らせるようにして浮上します。最初のうちは、横からサポートしてあげるといいでしょう。
イルカ飛びでは、スピードをつけて入水しないと、うまく弓なりに上昇することができないことから、怖がらずに勢いをつけて飛び込むことが大切です。
3.声かけでキックのリズムを身につける
バタフライのキックのタイミングは、頭では分かっていても、実際にストロークに合わせて行うのは難しいため、声をかけることで泳ぎのリズムを身につけましょう。
バタフライのキックはツービートのため、泳いでいる最中に「1,2」「1,2」と声をかけてキックのタイミングを知らせます。声をかける目安は、第一キックがエントリー、第二キックがプルです。
しかし、泳ぎに夢中になってしまうと声が聞こえにくくなってしまうため、そのような場合は、声をかけながら背中を軽く叩いてあげると、タイミングが掴みやすくなります。
バタフライは決して難しい泳ぎではありません
バタフライは、4泳法の中でも最も難しいと言われていますが、ドリルで個々の動きを分割してマスターすることによって、泳ぎ全体をスムーズに身につけることができます。
そのほかに、ストロークやキック、息継ぎなどの練習は、布団の上やお風呂でもできるので、プールに行かない日は空き時間を利用して実践してみてはいかがでしょう。
また、バタフライの腕の動きやキックなど、泳ぎの基礎きっちり身につけたいという方には、こちらのバタフライの泳ぎ方がおすすめです。